医療関係者向け情報

BRCAssure® BRCA遺伝子の検査

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)について

BRCA遺伝子の変異によって乳がんや卵巣がんなど特定のがんリスクが上昇
  • 遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)家系の多くにBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子(以下、BRCA1/2遺伝子)の変異が認められます。1)
  • BRCA1遺伝子に変異を有する女性が生涯において乳がんを発症するリスクは46-87%、BRCA2遺伝子に変異を有する女性が乳がんを発症するリスクは38-84%といわれています。2)
  • 卵巣がんのリスクは、BRCA1遺伝子の変異を有する場合に39-63%、BRCA2遺伝子では16.5-27%です。2)
  • 乳がん・卵巣がんのほかに、性別に関わらず、特定のがん(前立腺がん、膵がん、メラノーマ、胃がん、食道がん、胆管がん)のリスクが上昇します。2)
がんの種類 BRCA1 に変異あり BRCA2 に変異あり 一般集団(変異なし)
乳がん 46-87% 38-84% 12%
卵巣がん 39-63% 16.5-27% 1-2%
男性乳がん 1-2% 最大8.9% 0.1%
前立腺がん 8.6%(65才までに) 15%(65才までに)
20%(生涯)
6%(69才まで)
膵がん 1-3% 2-7% 0.5%
2回目の原発性乳がん 21.1%  (10年以内)
83%(70才までに)
10.8% (10年以内)
62%(70才までに)
2%(5年以内)

参照:Petrucelli, N, et al. BRCA1 and BRCA2 Hereditary Breast and Ovarian Cancer. Gene Reviews 2)

一般集団の400人に1人がBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に変異を有すると考えられています。変異の頻度には人種差があり、アシュケナージ系ユダヤ人は、高い頻度で創始者効果による3つの変異のうちの1つを有しています。2)日本人における変異の頻度は明らかになっていません。

BRCAssure®

検査概要

BRCAssure®は、米国Laboratory Corporation of America® Holdings (LabCorp)およびラボコープ・ジャパンが提供する、BRCA1/2 遺伝子の変異を少量の血液で調べる検査です。

検査対象

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドライン3) 、日本国内の拾い上げ基準4) 5) などをもとに、臨床症状や既往歴からHBOCの可能性が疑われる患者、血縁者に乳がんや卵巣がんといった特定のがんが多くみられる方が検査を考慮する対象となります。将来の自由意志の保護という観点から、治療・予防措置が可能な場合や緊急を要する場合を除き、未成年者に対する遺伝学的検査は推奨されていません。6)

遺伝子の検査結果のみで判断せず、受検者の臨床症状や家族歴から適切なリスク評価を行ってください。

検査項目について

検査名 検査の対象 検査手法 所要日数(*)
BRCA1/2 Comprehensive
フルシーケンシング
+ MLPA
BRCA1/2 遺伝子の全領域 ・次世代シーケンサー(以下、NGS)
・MLPA(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification)
※検出された変異はサンガー法で確認
約3週間
BRCA1 家系内変異解析 Targeted Analysis 家系内に認められている
BRCA1 遺伝子の変異
サンガー法 4~5
週間
BRCA2 家系内変異解析
Targeted Analysis
家系内に認められている
BRCA2 遺伝子の変異
サンガー法
欠失・重複解析(MLPA)
BRCA1/2
Del / Dup Analysis
BRCA1/2 遺伝子における
欠失・重複解析
MLPA
アシュケナージ系
ユダヤ人パネル
Ashkenazi Jewish Panel
アシュケナージ系ユダヤ人に
高頻度でみられる3つの変異
BRCA1
・c.68_69delAG (187del_AG)
・c.5266dupC (5382insC)
BRCA2
・c.5946delT (6174delT)
サンガー法

* 所要日数:ラボコープ・ジャパンが検体を受領した日より起算

検査の精度
  • 感度・特異度:99%以上
  • VUS(Variant of Uncertain Significance)* が報告される頻度:4%

* VUSは病的意義が明らかになっていない変異を指します。結果がVUSの場合、報告された時点では、この変異によってがんになりやすいのかどうかを判断することができないことを意味します。今後の検査情報の蓄積によって結果の解釈が見直されることがあります。

フルシーケンシングとMLPAを同時に実施する意義

BRCAssure® BRCA1/2 Comprehensive フルシーケンシング+MLPAは、NGSによる遺伝子の塩基配列解析と併行してNGSでは検出が難しい大きな欠失・重複をMLPAで解析します。NCCNガイドラインは塩基配列解析と併行して、大きな変異の有無を調べる包括的な検査の重要性について記載しています。3)

検査の限界

本検査は、BRCA1/2遺伝子のコーディング領域と隣接するノンコーディング領域の変異を対象としています。BRCA1/2遺伝子とは異なる遺伝子の変異によって、乳がんや卵巣がんなど、特定のがんを発症することや多様な臨床症状を呈することがありますが、本検査では異なる遺伝子の変異を検出することができません。
また他の遺伝的要因で起きるHBOCに関わるがんを発症する可能性は否定できません。現在の検査技術の限界により、変異を検出できないことがあります。

検体受託要項

検査項目名 BRCAssure®
検体必要量 全血7ml、最小必要量4ml
採取容器 EDTA採血管
保存温度 常温
所要日数 BRCA1/2 Comprehensiveフルシーケンシング+MLPA
 :約3週間
・その他のBRCAssure®:4~5週間
(ラボコープ・ジャパン受託日より起算)
備考

本検査は、Laboratory Corporation of America®Holdings の子会社である
Esoterix Genetic Laboratories, LLC (米国) で
実施します。

参考文献

1) Hereditary Breast and Ovarian Cancer Syndrome. ACOG Practice Bulletin, Number 103, April 2009

2) Petrucelli, N, et al. BRCA1 and BRCA2 Hereditary Breast and Ovarian Cancer. Gene Reviews

3) NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology.
  Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast and Ovarian Version 2.2015

4) 日本HBOCコンソーシアム「かんたんチェック」: http://hboc.jp/downloads/kantancheck.pdf

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