患者向け情報

Q&A

Q1:羊水染色体分析の目的は何ですか?

A: 赤ちゃんは羊水のなかに浮いていますので、羊水中には赤ちゃんの細胞が含まれています。 この羊水を採取し、赤ちゃん由来の細胞を調べることにより、赤ちゃんに染色体の変化「染色体異常」があるかどうかを調べることができます。

Q2:染色体とは何ですか?

A: ヒトの体は小さな細胞が集まってできており、それぞれの細胞の中には、両親から受け継いだ染色体があります。
染色体にはヒトの設計図にあたる遺伝情報が含まれています。精子と卵子が受精することにより、赤ちゃんは染色体を各々から23本ずつ受け継ぎます。
したがって、ヒトは2本1組となった染色体を23組 合計46本持っています。
23組のうち1組は性別を決める性染色体で、女性はX染色体を2本持ち、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持っています。そのほかの染色体は常染色体と呼ばれています。

Q3:染色体異常とはどのような状態ですか?

A: 「染色体異常」とは、設計図である遺伝情報に変化が起こることを意味しています。 染色体異常は、大きく2つに分けることができます。 ひとつは46本である染色体の数が増えたり減ったりする「数の変化」で、もうひとつは染色体の形が変わる「構造の変化」です。 染色体の「数の変化」には、トリソミー(ある染色体が3本ある)やモノソミー(ある染色体が1本のみ)などがあります。 例えば、ダウン症候群では21 番染色体が3本、18 トリソミーでは18 番染色体が3 本あります。

染色体の「構造の変化」は、染色体に切断が起こり構造が一部変化したもので、染色体全体として過不足が生じていないもの(均衡型)と、 過不足が生じているもの(不均衡型)があります。均衡型の例として、相互転座(異なる染色体の一部が互いに入れ替わっている)があります。 不均衡型の例としては、欠失(染色体の一部が欠けている)があります。

Q4:羊水はどのように採取しますか?

A: 妊婦さんの腹部に細い針を刺して羊水を採取します。この手技を「羊水穿刺」と呼びます。 羊水を採取する前に、超音波検査を実施して胎盤の位置や羊水量などのほか、赤ちゃんの位置や姿勢などを確認します。 羊水穿刺中も超音波で穿刺針の先端の位置が羊水中にあるかどうかを確認します。 羊水穿刺後にも超音波検査を実施して、赤ちゃんの状態に異常がないことを確認します。 羊水穿刺は、多くの施設では、羊水量が増える妊娠15 週以降に行われています。詳しくは、 担当医にご確認ください。

羊水染色体分析は、1960年代後半から実施されている検査で、これまでに多くの妊婦さんが受けています。 しかし、羊水を採取する際に腹部に細い針を刺しますので、危険が全くないわけではありません。 羊水穿刺の合併症としては、流産、破水、出血、腹痛、子宮内感染、胎児の受傷、早産などがあります。 適切な処置で対処できる場合がほとんどですが、最終的に流産や胎児死亡に至ることもあり、その確率は、約0.3%(300人中1人)といわれています。

Q5:羊水染色体分析はどのように検査されますか?

A: 羊水染色体分析にはいくつかの方法がありますが、このサイトでは、最も多く実施されている以下の方法を羊水染色体分析と呼んでいます。 染色液の名称からG分染法と呼ばれることもあります。

G分染法では、羊水中の赤ちゃんの細胞が検査の対象となりますが、細胞数が少ないため、培養して細胞の数を増やします。 細胞が十分に増えた時点で、染色体の形態的特徴が識別できる時期の細胞を選び、染色体を染色液で染めます。そして、顕微鏡下にて染色体を観察します。

G分染法は、すべての染色体の数の変化、およびすべての染色体の構造の変化やモザイク(「Q6羊水染色体分析で分からないことはありますか?」を参照)を調べることができ、 確定診断と位置づけられています。

Q6:羊水染色体分析で分からないことはありますか?

A:

微細な変化は調べられません

染色体の数の変化や、構造の変化の多くは、正確に分析できますが、微細な構造の変化や遺伝子レベルの変化は検出することができません。

モザイクは診断できることもできないこともあります

一人の赤ちゃんが異常な染色体の細胞と正常な細胞の両方をもっている場合を「モザイク」と呼びます。 異常と正常の両方の細胞が見つかれば、モザイクの診断が可能です。 しかし、培養した際、正常細胞ばかりが増えてくる場合、もしくは両方の細胞が増えても正常細胞しか検出されなかった場合には、 出生後にモザイクの赤ちゃんであることが判明する場合があります。

すべての病気を診断することはできません

染色体異常は生まれてくる赤ちゃんの病気の一部に過ぎず、本検査ではすべての病気の診断はできません。 赤ちゃんは誰でも病気をもつ可能性があり、赤ちゃんの約3~5%には、何らかの治療が必要な症状が認められるといわれています。 なお、染色体異常の赤ちゃんが生まれる頻度は0.92%です。 また、赤ちゃんが染色体異常をもっている場合でも、合併症や発達の程度には個人差がありますが、本検査では様々な成長発達の可能性を予想することはできません。

結果がご報告できないことがあります

羊水を採取できてもその中の赤ちゃんの細胞が十分に増えない場合があります。 この場合には、染色体を観察して分析することができず、結果を報告することができません。

Q7:羊水染色体分析はいつごろ受けることができますか?

A: 羊水染色体分析は妊娠15週ごろから検査が可能になります。 これよりも早い時期では十分な量の羊水が採れないことや、安全性の面からあまり行われていません。 医療機関で検査結果を説明されるまでの所要日数は2〜3週間です。

Q8:検査の費用はどの位かかりますか?

A:羊水染色体分析には健康保険の適用が認められておりません。 したがって、費用に健康保険は使えず、自己負担になります。 具体的な費用は通院されている病院でお尋ねください。

Q9:羊水染色体分析以外で、羊水を用いた検査にはどのような検査がありますか?

A:羊水を用いた検査のうち、羊水染色体分析以外の検査には羊水アルファフェトプロテイン検査があげられます。 この検査では、羊水中に含まれるアルファフェトプロテインを測定します。

超音波診断や クアトロテストの結果などから、赤ちゃんに開放性神経管奇形の疑いがある場合にこの検査が行われることがあります。

Q10:羊水染色体分析を実施している病院はわかりますか?

A:お問い合わせより、その旨をお問い合わせください。

Q11:クアトロテストを受けましたが、羊水染色体分析を受けるかどうか 迷っています。どのように決めたらよいですか?

A:羊水染色体分析をお受けになられるかどうかは、クアトロテストの結果が同じ確率であったとしても、妊婦様やご家族の考え方によって異なっております。 羊水染色体分析を受けるかどうかについては、以下の3点を考慮しながら、担当の先生とご相談される妊婦さんが多いようです。

1)クアトロテストの結果(確率、およびスクリーニング陽性 / 陰性)

2)羊水穿刺に伴う流産の確率約0.3%(300人中1人)

3)年齢から推測されるダウン症のお子さんを妊娠される確率 (「クアトロテストQ&AのQ4」をご参照ください)

羊水染色体分析では、下腹部に細い針(穿刺針)を刺して羊水を採取するため、穿刺後に赤ちゃんが流産する可能性が約0.3%(300人中1人)とされています。 そのため、赤ちゃんがダウン症候群に罹患している確率と、この流産の可能性を比較して、羊水染色体分析を受けるかどうかを判断することがあります。

例えば、カットオフ値である1/295よりも高い結果を得た妊婦さんやご家族は、羊水穿刺に伴う流産の可能性よりも、 赤ちゃんが罹患している確率が高いので、羊水染色体分析を受けたいとお考えになる場合があります。 一方で、約0.3%(300人中1人)という流産の可能性を一番ご心配されている妊婦さんの場合は、羊水染色体分析を受けないというご決断をされることもあるようです。

また、クアトロテストの結果は、確かに流産の可能性よりも確率は高いが、年齢から推測される確率よりは低いため、 羊水染色体分析を受けないという意思決定をされる方もいるようです。