Invitaeのマルチジーンパネル(遺伝性腫瘍)

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遺伝性腫瘍とは

がんは、加齢や環境要因(食事、喫煙、生活習慣等)、遺伝的要因など様々な要因が影響して発症すると考えられています。それぞれの要因がどの程度関係しているかは人によって様々ですが、がん発症者の約10%は、生まれつき持っている遺伝子の変化の影響で特定のがんを発症しやすい体質である「遺伝性腫瘍」と考えられています。

遺伝性腫瘍の方にみられる特徴

遺伝性腫瘍の方には、次のような特徴がみられることが多いです。
ただし、下記の特徴に当てはまらない場合でも遺伝性腫瘍と診断されることがあります。

1 比較的若い年齢でがんを発症した
2 血縁者に同じ種類のがんと診断された方が複数人いる
(例:母親と母方の叔母が卵巣がん)
3 複数もしくは両側のがんを発症した
(例:45歳で子宮体がん、52歳で大腸がんを発症)
(例:37歳で左側乳がん、45歳で右側乳がんを発症)

関連がんの発症リスクはどのくらい高い?

遺伝性腫瘍の方は、特定のがん種(関連がん)に対して高い発症リスクを持ちます。
例として、遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)における関連がんの発症リスクは次のとおりです。

関連がん 一般集団 BRCA1遺伝子に
病的バリアントあり
BRCA2遺伝子
病的バリアントあり
乳がん 12% 53~78% 44~80%
2回目の
原発性乳がん
2%(5年以内) 20~42%(10年以内) 10~30%(10年以内)
男性乳がん 0.1% 1~2% 7~8%
卵巣がん 1-2% 44~65% 13~29%
前立腺がん 6%(69歳まで) 7~26% 19~61%
膵がん 0.5% 3~4% 4~9%

検査結果を健康管理に役立てるために

検査では、あなたに遺伝性腫瘍の原因となる遺伝子の変化(病的バリアント)があるかどうかを調べます。通常、次のうちいずれかの検査結果が報告されます。

Positive(陽性)
病的バリアントが見つかったという結果です。治療方針や予防・早期発見のための方策、血縁者の健康管理について検討することが推奨されます。
VUS(病的意義不明)
遺伝子の変化が見つかったものの、現時点では病的かどうか不明であるという結果です。
今後、医学の進歩によって解釈が変わる可能性があるため、検査結果は大切に保管しましょう。
Negative(陰性)
検査で調べた遺伝子には、病的バリアントは見つからなかったという結果です。
遺伝性腫瘍の可能性が完全に否定できるものではありません。

検査の結果は、次のように今後の健康管理に役立てることが考えられます。

今後のがん発症リスクに対する予防・早期発見
  • サーベイランス
    関連がんの早期発見に繋がるようリスクに応じた定期的ながん検診を行います。
  • リスク低減手術
    関連がんのリスクを低減することを目的に、臓器を予防的に切除する手術です。
    一部の遺伝性腫瘍では、リスク低減手術が選択肢となります。
例:遺伝性乳がん卵巣がん症候群BRCA1遺伝子)における推奨事項1
乳がん 既発症の場合:対側リスク低減乳房切除術(CRRM)、造影乳房MRIを用いたサーベイランス
未発症の場合:両側リスク低減乳房切除術(BRRM)、造影乳房MRIを用いたサーベイランス
卵巣がん リスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)、低用量経口避妊薬(OC)あるいは低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬内服(条件付き推奨)
膵がん MRI/MRCPまたは超音波内視鏡を用いたサーベイランス
(リスクに応じて50歳未満でも考慮・6~12カ月に1回)
前立腺がん 前立腺特異抗原(PSA)によるサーベイランスを40歳から開始
既存のがんに対する治療方針の判断
  • 術式選択の判断
    乳がんの手術で乳房を部分切除するか、全摘出するか、のように術式を判断するための情報として役立つことがあります。
  • 薬剤選択の判断
    特定の遺伝子に病的バリアントがあるかどうかによって、薬剤の効果の予測に役立つことがあります。

あなたの検査結果がご家族におよぼす影響

遺伝性腫瘍であることが判明した場合、血縁者も同じ病的バリアントを持っている可能性があります。あなたと同じように、血縁者にとっても健康管理に役立つ情報となり得ます。

両親や子供、きょうだいは、最大50%の確率であなたと同じ病的バリアントを持つ可能性があります。

また、ご家族はあなたと異なる病的バリアントを持っている可能性もあります。

遺伝性腫瘍についてご家族とコミュニケーションを行う際には、遺伝カウンセリングで相談することも可能です。遺伝医療の専門家によるサポートを受けることができます。

遺伝性腫瘍に関わる遺伝子と「多遺伝子パネル検査」

遺伝性腫瘍に関わる多数の遺伝子があり、関与する遺伝子もがん種によって様々です。
そのため、遺伝子を一つずつ検査するより、複数の遺伝子を同時に検査する方が効率的と考えられています。多遺伝子パネル検査では、遺伝性腫瘍に関わる複数の遺伝子を同時に調べます。

日本人がん患者における病的バリアントの頻度

日本人がん患者における病的バリアントの頻度

検査の流れ

  1. ①遺伝カウンセリング

    遺伝医療の専門家(臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラー等)とのカウンセリングです。
    あなたや血縁者の病歴をもとに遺伝性腫瘍の可能性を検討し、検査の目的や注意点の説明が行われます。
    分からないことや心配なことについて相談することもできます。

  2. ②採血

    検査希望する場合は、採血を行います。

  3. ③検査の実施

    血液を米国の検査機関へ送り、血液から抽出したDNAで病的バリアントの有無を調べます。

  4. ④検査結果の説明

    検査結果をもとに、あなたの今後の治療方針や予防・早期発見の方策について話し合います。
    また、血縁者の健康管理のための対応についても方針を考えます。

遺伝性のがんについて知りたいこと心配なことがあればまずは遺伝医療の専門家に相談してみましょう

参考文献

  1. 遺伝性腫瘍症候群に関する多遺伝子パネル検査(MGPT)の手引き2025年版日本遺伝性腫瘍学会
  2. Momozawa Y, et al., (2018) Nat Commun. 9(1):4083.
  3. Momozawa Y, et al., J Natl Cancer Inst. 2020 Apr 1;112(4):369-376.
  4. Mizukami K, et al., EBioMedicine. 2020 Oct;60:103033.
  5. Fujita M, et al., Clin Gastroenterol Hepatol. 2022 Sep;20(9):2132-2141.e9.

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