患者向け情報

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羊水染色体分析

羊水中に含まれる赤ちゃんの細胞を用いて、赤ちゃんの染色体を調べる検査です。妊娠15週ごろから検査が可能になります。

羊水染色体分析を受ける前には、必ず医師にご相談ください。

検査の目的

赤ちゃんは羊水のなかに浮いていますので、羊水中には赤ちゃんの細胞が含まれています。この羊水を採取すること により、赤ちゃんに染色体の変化「染色体異常」があるか どうかを調べることができます。

染色体とは

ヒトの体は小さな細胞が集まってできており、それぞれ の細胞の中には、両親から受け継いだ染色体がありま す。染色体にはヒトの設計図にあたる遺伝情報が含まれ ています。精子と卵子が受精することにより、赤ちゃん は染色体を各々から23本ずつ受け継ぎます。したがっ て、ヒトは下図のような2本1組となった染色体を23 組、合計46本持っています。23組のうち1組は性別を決める性染色体で、女性はX染色体を2本持ち、男性はX染色体とY染色体を1本ずつ持っています。そのほかの染色体は常染色体と呼ばれています。

染色体とは

染色体異常とは

「染色体異常」とは、設計図である遺伝情報に変化が起 こることを意味しています。染色体異常は、大きく2つ に分けることができます。ひとつは46本である染色体 の数が増えたり減ったりする「数の変化」で、もうひと つは染色体の形が変わる「構造の変化」です。 染色体の「数の変化」には、トリソミー(ある染色体が 3本ある)やモノソミー(ある染色体が1本のみ)など があります。例えば、ダウン症候群では21 番染色体が3本、18 トリソミーでは18 番染色体が3 本あります。

染色体異常とは

羊水の採取方法

妊婦さんの腹部に細い針を刺して羊水を採取します。この 手技を「羊水穿刺」と呼びます。羊水を採取する前に、超音波 検査を実施して胎盤の位置や羊水量などのほか、赤ちゃん の位置や姿勢などを確認します。羊水穿刺中も超音波で穿 刺針の先端の位置が羊水中にあるかどうかを確認します。 羊水穿刺後にも超音波検査を実施して、赤ちゃんの状態に 異常がないことを確認します。羊水穿刺は、多くの施設で は、羊水量が増える妊娠15 週以降に行われています。詳し くは、 担当医にご確認ください。

羊水穿刺の安全性

羊水染色体分析は、1960年代後半から実施されている 検査で、これまでに多くの妊婦さんが受けています。し かし、羊水を採取する際に腹部に細い針を刺しますの で、危険が全くないわけではありません。羊水穿刺の合 併症としては、流産、破水、出血、腹痛、子宮内感染、 胎児の受傷、早産などがあります。適切な処置で対処で きる場合がほとんどですが、最終的に流産や胎児死亡に 至ることもあり、その確率は、0.3%(300人1人)といわれています。

検査の限界

羊水染色体分析
微細な変化は調べられません

染色体の数の変化や、構造の変化の多くは、正確に分析できますが、微細な構造の変化や遺伝子レベルの変化は検出することができません。

モザイクは診断できることもできないこともあります

一人の赤ちゃんが異常な染色体の細胞と正常な細胞の両方をもっている場合を「モザイク」と呼びます。異常と正常の両方の細胞が見つかれば、モザイクの診断が可能です。しかし、培養した際、正常細胞ばかりが増えてくる場合、もしくは両方の細胞が増えても正常細胞しか検出されなかった場合には、出生後にモザイクの赤ちゃんであることが判明する場合があります。

すべての病気を診断することはできません

染色体異常は生まれてくる赤ちゃんの病気の一部に過ぎず、本検査ではすべての病気の診断はできません。赤ちゃんは誰でも病気をもつ可能性があり、赤ちゃんの約3~5%には、何らかの治療が必要な症状が認められるといわれています。なお、染色体異常の赤ちゃんが生まれる頻度は0.92%です2)。また、赤ちゃんが染色体異常をもっている場合でも、合併症や発達の程度には個人差がありますが、本検査では様々な成長発達の可能性を予想することはできません。

結果がご報告できないことがあります

羊水を採取できてもその中の赤ちゃんの細胞が十分に増えない場合が、約0.2%あります3)。この場合には、染色体を観察して分析することができず、結果を報告することができません。

間期核FISH検査
対象外となる染色体異常は調べられません

13番、18番、21番、XおよびY染色体の数の変化を検出します。したがって、構造異常、モザイク、対象外の染色体の数の変化など、出生前診断で認められる染色体異常の約30~35%は検出できません1)

確定診断ではありません

間期核FISH検査で異常結果(陽性)であった場合、羊水染色体分析でも同じ異常結果となるのは99.83%です。また、本検査で正常結果(陰性)であった場合、羊水染色体分析でも正常結果となるのは99.96%です(ただし本検査で検出できない染色体の変化を認めることはあります)。確定診断には、羊水染色体分析の結果をお待ちください。

検査結果を判定できない場合があります

以下の理由により検査結果を判定できない場合があります。
羊水染色体分析の結果をお待ちください。

  • 羊水量や、羊水中に含まれる赤ちゃんの細胞が不足している場合:間期核FISH検査では細胞を培養し
    ないので、検査には多くの細胞が必要なためです。
  • 母体血液が混入している場合で、赤ちゃんが女児の場合:妊婦さんの細胞と赤ちゃんの細胞の区別ができないためです。
  • 異常シグナル数の細胞の割合、および正常シグナル数の細胞の割合が、判定基準を満たす場合にのみ結果を報告します。

結果の解釈について

染色体異常が検出された場合は、担当医や染色体に詳しい専門医から、結果から推定される赤ちゃんの状態や予後について詳しい説明を受けてください。

データ集

染色体異常と年齢の関係

妊婦さんの年齢が高くなるほど、ダウン症候群などの染色体異常の赤ちゃんが生まれる確率が高くなることが知られています。下表では、母体年齢別に、出生時において生まれた赤ちゃんがダウン症候群4)またはすべての染色体異常5)である確率を示しています。

分娩時年齢 ダウン症候群 すべての染色体異常 分娩時年齢 ダウン症候群 すべての染色体異常
25 1/1352 1/476 35 1/385 1/179
26 1/1287 1/476 36 1/308 1/149
27 1/1209 1/455 37 1/243 1/123
28 1/1120 1/435 38 1/190 1/105
29 1/1019 1/417 39 1/147 1/81
30 1/910 1/385 40 1/113 1/63
31 1/797 1/385 41 1/86 1/49
32 1/684 1/323 42 1/66 1/39
33 1/575 1/286 43 1/50 1/31
34 1/475 1/244 44 1/38 1/24
染色体異常の内訳

弊社が2006年から2008年に行った羊水染色体分析の染色体異常の内訳を示しています。約70%を常染色体トリソミーが占めていました。なお、常染色体トリソミーの約半数は21トリソミー(ダウン症候群)となりました。

染色体異常の内訳

参考文献

1) Test and Technology Transfer Committee. Genet Med. 2000;2:356-361.

2) Jacobs PA, et al. J Med Genet. 1992;29:103-108.

3) 社内データ

4) Cuckle HS, et al. Br J Obstet Gynaecol. 1987;94:387-402.

5) Hook EB. Obstet Gynecol. 1981;58:282-285.